さよなら絵梨の考察まとめ!あらすじネタバレも徹底解説!

さよなら絵梨 考察 まとめ マンガ・アニメ
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「チェンソーマン」や「ルックバック」などで知られる漫画家・藤本タツキ先生

その藤本先生が4月11日にジャンプ+にて公開した新作読み切り『さよなら絵梨』が話題になっています。

200ページという大ボリューム、藤本節たっぷりなストーリー、「読む映画」と評されるにふさわしい独創的な表現の数々。

実際筆者も読んでみましたが、200ページなんてあっという間です。びっくりするぐらいあっという間。

興味あるけどまだ読んでない!けど地雷があると嫌だから内容だけでも知りたい!

そんな方の為に「 さよなら絵梨の考察まとめ!あらすじネタバレも徹底解説!」と題してまとめてみました。

前半ネタバレ有のあらすじ&ネタバレもりもり考察ですので、苦手な方はUターンをお願いします。

 

さよなら絵梨のネタバレ有あらすじ

主人公・優太は12歳の誕生日にスマートフォンを買ってもらい、その喜びを動画にして撮影していた。

しかし、突然母親に「病気で死んでしまうかもしれない自分を動画に残してほしい」と頼まれる。

今する話じゃないでしょ、とよわよわしく反論しながらも承諾した優太。

水族館で笑う両親、泣く父親の背中、道を歩く野良猫、二人の寝顔、入院着の母親、虫の死骸。

とうとう最後だという父親に連れられて車で病院に向かう優太は、父親にこんなことを言われる。

「お母さんな…死ぬ瞬間まで撮って欲しいって」

病院の前で立ち尽くした優太は、呼び止める父親を振り切って走り出した。

走って、走って、走って、母への思いを思いっきり叫んだ。

「さよなら母さァーん!!」

 

その背後では、なぜか盛大に病院が爆発していた。

 

そう、それは映画だった。

正しくは優太が撮ったドキュメンタリー映像作品『デッドエクスプロージョンマザー』である。

文化祭中の学校の体育館で公開されたこの作品は、同級生や先生からは大不評だった。

優太の後に登場した軽音楽部のボーカルには「あんな糞映画見た後じゃ歌いにくい」とネタにされ、同級生からは嗤われ、教師からは胸倉掴む勢いで怒られる始末。

「倫理観疑う」「お母さんの気持ち考えたら?」「糞映画でした~wwww」

散々な評価を下された優太は自殺することを決め、そのメッセージを動画に残した後、母が死んだ病院の屋上へ進む。

 

その屋上で優太を止めたのは、ショートカットの謎の少女だった。

自殺しようとしていた少年が、あの映像作品の作者であることに気付いた少女は、優太を強引に廃墟へと連れていく。

訳も分からず9時間も映画鑑賞に付き合わされた優太に、少女はこう言った。

「貴方の映画 超っ~!面白かった」「でも同じくらい悔しかった」「だからもう一回映画を作って」

「今度こそ全員ブチ泣かせてやらない?」

私がマネージャーしてあげる、と強気に笑う少女の名前を問う優太。

少女は絵梨と名乗り、二人は共犯者となるべく握手を交わした。

 

以上が、主に物語の前半部分のあらすじです。因みにここまでで50ページ。

あと150ページの中にも重大なネタバレがあるのですが、流石に最後まで書くのは勿体ないと感じたのでここで区切らせていただきました。

ここまでのあらすじで気になった方はぜひ読んでみてください。

どこまでが現実でどこまでが虚構なのか、一つまみのファンタジーと共にお楽しみください。

 

さよなら絵梨の考察まとめ

ここからはどんどこネタバレ有で進んでいきますよ~!

眼から鱗だったり、言われてみたら確かに!となったり、皆さんホントよく見ていらっしゃいます。

これを読めばもう一度『さよなら絵梨』を読んでみたくなること間違いなし!

それでは早速ご紹介していきましょう。

 

考察①さまざまな映画オマージュが登場する

これは上に張り付けてあるTwitterからの情報ですね。

  • ぼくのエリ(2008)
  • ファイトクラブ(1999)
  • 君の名前で僕を呼んで(2017)
  • プロジェクトV(2020)

今のところ分かっているのは上記の作品です。()内の数字は現実における公開年ですね。

他にも

  • マイ・ライフ(オマージュ?)
  • ニュー・シネマ・パラダイス(オマージュ?)
  • ダークナイト(オマージュ?)
  • ブレイクスルー(作中で棚に陳列)
  • BREAK POINT(同上)

など、ちらっと出たものからオマージュ元まで、SNSでは様々なタイトルが挙げられていました。

お恥ずかしながら筆者は映画に詳しくないのでさっぱりなのですが……^^;

藤本先生ファンは映画好きが多いとのことなので、さもありなんという感じですね~。

特に『ぼくのエリ』『ファイトクラブ』に関しては強く意識していると考えられます。

その理由については考察⑤で触れていますので、気になる方はもう少しお付き合いください♪

漫画のコマにちらっと入るジャケットだけで映画タイトルが分かるの!?

いや~特殊技能の域ですな!
それぞれ強烈に印象に残ってる映画があるってことだね

 

考察②大人になった優太はお父さんが演じている?

これは「文化祭で絵梨のドキュメンタリー映像を公開した後」に関する考察です。

文化祭での発表で勝利した後、暗転したコマが9コマ続きます。

その後、優太が大人になってからの話に続くのですが、これは現実での話ではなく「これもまた映像作品なのでは?」という考察がされました。

最終的に絵梨と映画を見ていた廃墟が爆発するというオチがついている時点で、あれが現実でないことは明白です。

であれば、暗転してからその後の内容も「映像作品」であると考えるのが自然でしょう。

そして、作中では優太のお父さんが「大学を出た後に友人と演劇をしていた」というコマがあります。

ここから、大人になった優太は父親が演じているのでは?と考察されたわけですね。

因みに最後に爆発オチがきたことで、この映像作品は優太が編集していることが分かります。

これを踏まえて次にいきましょう。

いやまだあるの!?もうすでに腹十分目ぐらいだけど!

 

考察③計算され尽くされている漫画のコマ数

『さよなら絵梨』に関する考察をSNSで検索してみたところ、以下のような投稿を発見しました。

……マジですか???

気になったので、筆者もガチでカウントしてみました。

結果、以下のような集計となりました。

  • タイトル(スマホを掲げる両手の絵):片面1P
  • 本文:4コマ×164P 2コマ×12P 片面1コマ×14P 見開き1コマ×4P
  • 終幕(暗転):片面1P

1+656+24+14+4+1=700

いやもう……なんか……こう言っては何ですが、気持ち悪いほどの計算されっぷりですね。

伏線をちりばめるのが好きな藤本先生らしい仕込みというかなんというか。

1コマ10秒かどうかは不明ですが、コマ数は間違いなく計算されているでしょう。

考察というよりは仕掛けでしょうか。

ともあれ、この計算された仕組みと作中の作中作の流れを踏まえて、考察④が導き出されます。

 

考察④「さよなら絵梨」自体が一つの映像作品だった説

この漫画には3段階のメタ構造であることが分かります。

母親の話は優太が撮った映像作品、続く絵梨との話もまた映像として編集されたもの。

そして最後に大人になった優太の話もまた映像作品であると分かるでしょう。

また、絵梨に関して一つ気になる情報が作中で出てきましたね?

「絵梨は本当は眼鏡をかけていて、歯の矯正もしていた」という情報です。

しかし、優太と初めて出会った時点で絵梨は眼鏡をかけていませんでした。

つまりあのシーンもまた映像作品に組み込まれているということになります。

 

以上のことから、「さよなら絵梨」は全編通して優太が撮り、編集した映像作品ではないかという説が浮上してくるのです。

タイトルがスマホ画面からスタートするのも、その暗喩ではないかともいわれていますね。

また、作中で絵梨と訪れたレンタルビデオ店のラインナップも注目ポイント。

「新作」のシールが貼られた『君の名前で僕を呼んで』のレンタル開始日は2018/09/14。

同じく新作コーナーに並べられた『プロジェクトV』のレンタル開始日は2021/09/08。

2作品には約3年の「空き」があるのに同じ新作棚に並んでいるのはおかしい、という考察です。

あいうえお順に並べるにしても相当離れていないとおかしいですよね。

あれは映画でよくみられる「監督のお遊び」ではないでしょうか。

ひとが気にも留めないような部分に、自分の遊び心をこっそり潜ませるのはクリエイターの常套手段です。

優太の、ひいては藤本先生の遊び心が潜んでいる1カットなのかもしれませんね。

 

考察⑤表現の規制に対するアンチテーゼ?

オマージュ元としてあげられる『ぼくのエリ』と『ファイトクラブ』には、ある共通点があります。

それは両作品とも表現の規制が入ったことがある、ということです。

ざっくりと規制が入った部分について説明していきましょう。

 

『ぼくのエリ』は日本で放映されるに辺り、エリの陰部にある手術痕にぼかしが入れられています。

この手術痕は去勢の痕で、要するにエリは少女ではなく少年だったことがそのシーンで明らかになるわけです。

しかし、ぼかしが入ることでエリの性別はうやむやなままです。

加えて、邦題は『ぼくのエリ 200歳の少女』とされており、エリの性別が”女”であるとミスリードさせられてしまうんですね。

作為的な改変、むしろ改悪といっても良い所業ですね!

 

また『ファイトクラブ』に関する規制は二つほどあります。

一つは日本で公開されるに辺り、サブリミナル効果を狙ったカットの一部が規制されたというもの。

もう一つは、なんとエンディング自体が改変されたというものです。

これは中国で『ファイトクラブ』をオンライン配信するに辺り、検閲を受けた結果だといわれています。

爆発したはずのビルは爆発せず、犯罪者は皆逮捕され、なぜか主人公の幻覚であるタイラーが精神病院に入れられるというオチ。(これがテロップで説明される)

この意味不明な改変に、SNS上で大ブーイングが起こり、オリジナルに近いものが公開されることになりました。

撤回されたとはいえ、とんでもない規制の入り方ですよね^^;

 

規制を入れるということは、万人に受け入れがたい部分をぼかすということです。

あるいは、ある一定の層にたいする配慮や防衛のためともいえるでしょう。

バッシングを受けるまえに、もしくはバッシングを受けたあとに、より多くの視聴者に受け入れてもらいやすいように改変すること。

そういう意味では、『さよなら絵梨』における「爆発オチ」は規制が入ったといえます。

絵梨の話で爆発オチを入れなかったのは、おそらく絵梨がマネージメントをしたからでしょう。

結果として二人は勝負に勝ち、生徒たちをブチ泣かすことに成功する。

ここで作品が終わればきれいな結末だったかもしれません。

でも、それでは優太は世論の圧力に屈し、規制を受け入れたクリエイターに成り下がってしまいます。

 

不謹慎だと言われようが意味不明だろうが、オレはこれが良いんだ!これが好きなんだ!

1回目の作品より、ぐっとクオリティのあがった爆発には、そんな優太の力強いメッセージを感じました。

個人的に、藤本先生の『ルックバック』炎上騒動に対する反論にも思えてしまうんですよね。

優太も、爆発オチがその作品の全てみたいに言われて、悲しかったし腹立たしかったでしょう。

目につきやすい点にばかり噛みつかれて、作品の本当に伝えたいところは無視されて。

作品の一側面だけを取り上げられることへの腹立たしさ、不自由な規制への反感。

そして、好きなものは好きと言い続けてやるんだという開き直り。

『さよなら絵梨』は、藤本先生のそんな決意表明のような作品といえるかもしれませんね。

 

まとめ

「さよなら絵梨の考察まとめ!あらすじネタバレも徹底解説!」と題して考察してみました。

かなり異端な作品であると言えますし、藤本タツキワールド全開で、ついついクセになりそうです笑。

ちょうど700コマあるなどの緻密な仕掛けも素晴らしく、この人の頭どうなってるんだろうと不思議になるレベル。

筆者は藤本タツキ作品を初めて読みましたが、過去の読み切り作品も読んでみたくなりました。

まだまだ考察のしがいがありますので、新たな考察ネタが出てき次第、随時追記していきます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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